伊部(いんべ)の町に入りました。備前焼の里として知られています。備前焼の発祥は平安時代末期までさかのぼり、伊部は現在まで800年も続く産地です。道の両脇には備前焼の看板や作品が展示されていて今なお生活に息づいてここにあります。昼食時に出されたお皿や珈琲のカップは備前焼が使われていて嬉しかったです。

新幹線が走る隣に静かな大ケ池が現れました。大ケ池の記録は古く平安時代末期に記録されているそうです。看板にはウルグアイラウンド対策事業地と書いてあります。きれいな水資源を残したり生物多様性保全機能に配慮した池や地域になっているようです。

備前市香登(かがと)付近で大内神社の社(やしろ)がありました。参拝して中を覗くと格子の内側に並ぶキツネを見つけました。神秘的な様子に感心しました。

吉井川を渡ります。この日は電車の駅が遠く離れ長い距離の歩きとなりました。想定していたことですが、久しぶりの長さに足がつっています。少しつらい道のりになりました。

陽が傾き始めましたが長い道のりは続きます。

途中見られた民家の板壁は黒く焼かれたものがありました。火災に対する備えだと思いますが、蔵の壁に「水」の紋章が描かれているのも見られました。いかに火を恐れていたかが分かります。現在でも火災は怖いものですが消防施設の少ない時代はなおさらだったのでしょう。
この日は上道駅で終了しました。駅のベンチで夕暮れの風景を見ながらため息をつく私でした。

NO.11
R5.10.23 片上宿~藤井宿
備前焼の里
ハロウィンの飾りが見られる快晴の天気のもと片上宿を立ちます。5時に家を出てから5時間かかりました。さすがに遠く、座り続けたため腰にきています。軽く体操をして出発です。

片上宿にある御瀧山(おたきさん)真光寺に寄りました。国指定の重要文化財の三重塔と本堂があります。言い伝えによると真光寺は奈良時代の創建だそうです。この片上宿には万代家が長く続き、唐人から伝授された薬を家業としていました。越中富山にも製法を伝えたことで「越中富山の薬売り」のルーツになっているようです。

分かれ道にお夏の墓がありました。お夏って誰だろうと不思議に思いながら歩いて行くと、葛坂(くずさか)峠にお夏茶屋跡の案内板がありました。お夏は天性の美貌(びぼう)で井原西鶴の好色五人女に登場する人物とも言われています。駆け落ちが失敗して清十郎と死に別れこの地で茶屋を営んだと伝えられているようです。

柿が青空に映(は)えてとても秋を感じます。
