「雨ニモマケズ」
雨にも負けず
風にも負けず
雪にも夏の暑さにも負けぬ
丈夫なからだをもち
慾(よく)はなく
決して怒らず
いつも静かに笑っている
一日に玄米(げんまい)四合と
味噌(みそ)と少しの野菜を食べ
あらゆることを
自分を勘定(かんじょう)に入れずに
よく見聞きし分かり
そして忘れず
野原の松の林の陰の
小さな萱(かや)ぶきの小屋にいて
東に病気の子供あれば
行って看病してやり
西に疲れた母あれば
行ってその稲の束(たば)を負い
南に死にそうな人あれば
行ってこわがらなくてもいいと言い
北に喧嘩(けんか)や訴訟(そしょう)があれば
つまらないからやめろといい
日照りの時は涙を流し
寒さの夏はおろおろ歩き
みんなにでくのぼーと呼ばれ
褒(ほ)められもせず
苦にもされず
そういうものに
わたしはなりたい
NO.34