朝ホテル付近の海岸を散歩しました。朝日を浴びた海岸の岩が赤く輝き美しい姿が見られました。ふと足元の砂地を見るとペンギンの足跡らしいものがあります。もしかするとこの付近にペンギンが上陸したのかも知れません。そう思うと昨日の残念な気持ちが少しよみがえりました。

ただ今日はトロワナ野生動物保護区に行く予定でしたので、きっとたくさんの動物に会えるだろうと気持ちを切り替えました。この日は19世紀の入植時代の面影を残すロスの町に寄りました。きれいで落ち着いた町です。

入植時代といえばオーストラリア先住民アボリジニとの対立が数多くあった時代です。こちらに来る機内で2008年に公開された「オーストラリア」という映画を見ました。貴族の婦人がオーストラリア牧場経営に行った夫に会いに行ったところ、夫は殺され牧場の牛は盗まれていました。残った牛を軍に売却するため仲間と荒野を旅していくと言う話です。その中にアボリジニの迫害についても表現されていました。土地を奪われ生活できなくなったアボリジニは人種差別の中に生きていました。旅をした多くの国で耳にするこのような話しは残念ですが現実のものです。

トロワナ野生動物保護区に入りました。1979年から野生動物を保護してきた個人の施設です。ここでは野生動物を守ること、育成すること、野生に返すことを目標としていて26ヘクタールの土地に傷ついたタスマニアデビルやオーストラリアの動物たちが暮らしています。そのため多くの動物に出会うのにはとても良い場所です。

大人35ドル程度の入場料が必要ですがこの施設を運営し野生動物保護を支援できるので必要なものだと思います。最近のニュースではウォンバットとフクロネコが野生に帰ったそうです。嬉しいですね。ガイドさんの説明は英語なので私にはよく分かりませんでしたが、ウォンバットを触らせてもらえました。お尻が硬かったです。(^_^)
かわいいウォンバット 

タスマニアデビルは夜行性で少しの音にも隠れてしまう繊細な性質です。自然の中ではまず会うことができません。気性が荒くエサの奪い合いで争います。顔面に腫瘍ができる疾患が流行し絶滅も心配されています。そのため見ることができたのは貴重でした。他の動物たちもなかなか会えないことが多いので間近に観察できるのは本当に嬉しかったです。素晴らしい時間でした。
タスマニアデビル食事風景 

2025(R7).1 NO.2
ハイキング終了後、1時間ほどでこの日の宿泊地ビシェノの町に着きました。タスマニアの東海岸にある静かな漁業の町です。かつて捕鯨の港であったということで7月から11月の間には近くのワウウズ湾でクジラが見られるそうです。オレンジ色の地衣類に覆われた岩が点在する海岸は青い海に映えて美しかったです。

ホテルに入る前に近くの海岸でブローホール(潮吹き穴)を見学しました。タスマン海の波が固い花崗岩に穴を開けて打ち寄せる波が圧力となり、穴から潮が噴き出す様子が見られます。近くで見学していた人は思わぬ大きな吹き出しに波をかぶり苦笑いでした。

この付近の海岸には夜になるとフェアリーペンギンが海から上がってきて海岸の茂みにある営巣地に戻る姿が見られるそうです。この様子をペンギンパレードと呼びますが、うきうきした気持ちになりますね。案内看板にはその様子が写真と共に紹介されていました。

フェアリーペンギンは最も小型のペンギンで大人でも身長が40cm程しかありません。早朝集団で沖合に出て魚を補食し日没後に戻ってきます。フェアリー(妖精)という名前がついていますが縄張り意識が強くて攻撃的だそうです。夜にツアーの皆さんと海岸へ行きました。暗くなる海岸でじっと待つのですが期待に胸が躍りました。

ところがいつまで待っても現れません。ガイドの方が探してくれていますが見つかりません。この日はとうとう姿を見ることができませんでした。本当にがっかりでした。(-_-;)
でも待つ間に見上げた夜空には南半球で見られる南十字星がはっきり観察できました。その美しい姿を見ているとペンギンを見られなかった残念な気持ちが少し癒やされるのでした。

その夜遅くに街灯の光があたらないところで星空を観察しました。星がたくさんありすぎて星座が分からないほどでした。素敵な星空でした。

