氷河の世界

 この日は快晴で船は「7月14日氷河」を前にして停船しゾディアックボートでの探索になりました。美しい氷河は雄大で迫力があります。







 危険が予想される範囲にはボートは近づけませんが、近づくと見た目より高さのある氷河が覆い被(おおいかぶ)さってくるようでした。
 また別の小さな入り江に入ったときに氷河から崩れた小さな氷から「ピチ!パチ!」と音がしていることに気がつきました。長い年月の間、閉じ込められていた空気が氷が溶けたことで外に飛び出した音です。何千年も前の空気と音が今ここにありました。

 
 
クルーズの時に見つける氷のかけらには楽しい形のものもあります。この日はエンゼルフィッシュが見つかりました。またそれらの氷は時に乾杯のグラスの中で贅沢に光っているのでした。(^_^)



 そして氷河のかけらはそこに住む生き物が出会いを求めて羽を休める場所にもなっています。




       

    
                        
2019(R1).6  NO.5

  上陸地の遺跡

 北緯80度線を目指して航行していた船は行く手を海氷に阻(はば)まれ、先へ行くことは難しくなりました。最高緯度(いど)は79度43分でした。



 船は少し戻ったフィヨルド「ニーロンドン」という場所に停船し、この地に上陸することになりました。スピッツベルゲン島は雪と氷の山脈やフィヨルドに阻まれているため道路がありません。人の住んでいない地域はボートかヘリコプターでの上陸だけが可能です。



 夏になりニーロンドンの上陸地は雪が少なくなっていました。ここには昔、クジラ漁で捕ったクジラを解体してその身を煮詰(につ)めて油を取り出す施設がありました。大量のクジラが処理された場所です。現在はその残骸が残っています。ちょっと気持ちが重くなりました。



 周囲を見渡すと保護色に羽が変わっているライチョウがいました。人を知らないせいかあまり逃げません。雪解け跡の草地で餌(えさ)を探していました。



 またトナカイが新芽を夢中で食べています。人が近寄ることに迷惑そうにしながら美味しい草のある場所をすこしづつ移動していました。