氷河の創作物
クルーズの途中に鋭くとがった頂(いただき)を持つ山がありました。私達のボートはそのすぐ近くの小さな入江に入っていきました。


入江に入るとその中央にまるく盛り上がった岩があり、カオジロガンがその岩の上で休んでいます。ボートはその岩のすぐそばまで行きました。


ふとその岩の表面を見てびっくりしました。まるでタイルが岩にはめ込まれているように見えたからです。表面が磨(みが)かれてきれいな模様(もよう)が浮き上がっています。

なぜこんな所にタイルがと思って回りを見回しました。その入り江には氷河が流れ込んでいます。原因は氷河しか考えられません。こんな岩を氷河が削(けず)ったのかと感心してしまいました。

その時ふと湾の入り口付近にあったあのとがった山のことを思い出しました。なぜあんなにとがっていたのか、その答えがこの岩だったのです。
スピッツベルゲン島がもっと寒くもっと雪が多かった頃、大きな氷河がこの島を覆(おお)っていたのでしょう。その氷河は長い年月をかけて大地を削り、あのようなとがった山を作り出したのだと思います。

氷河が作り出す造形は美しく、時に驚(おどろ)くような形になります。一つとして同じものはありません。こんなステキな姿を間近で見ることができ感じることができて幸せでした。
2019(R1).6 NO.6
北極海飛び込み
プログラム
6月12日、午前中の上陸、午後のボートクルーズが終わりました。船は静かな湾に停泊しています。この湾は山にさえぎられ風も少なく穏(おだ)やかな海となっています。

夕方、北極海飛び込みプログラムが開催されると放送がありました。参加する者は水着に着替えて部屋のバスローブを羽織(はお)って船のボート乗り場に向かいます。すでにたくさんの飛び込み希望者が集まってきています。
同じ北極海に飛び込もうという仲間ですからすぐに仲良くなって盛り上がります。先に飛び込んだ人はみんなとんだ瞬間(しゅんかん)にパフォーマンスを見せていて観客からは声援もとんでいます。飛び込んだ人が帰ってくるとみんな拍手で迎えました。

自分の番が近づくにつれワクワクして気持ちが高まります。そしていよいよ飛び込みの時が来ました。私の得意なものはあれしかありません。救助用のロープを身体に巻きました。船のドクターもAEDを持って待機(たいき)しています。
よし!やるぞ!



飛び込んだ瞬間、足先が冷たいと思いましたが、それ以上は考える事も無く泳いでボートに戻りました。寒いと感じることはありませんでした。船のデッキに並んで見学していた人達からはたくさんの拍手がありました。
部屋に戻ってシャワーを浴びます。南極で飛び込んだときのことを思い出しました。あの時は体が全身赤くなっていましたが、今回はそんなこともありませんでした。ただ足先がしばらく冷たくて痛いようなむずがゆいような感じがしばらくしていました。でも楽しかったです。

のちほど部屋に飛び込み証明ワッペンが届きました。北緯79度07分、マイナス2度の海に飛び込んだと説明がついていました。(^_^)
