野生動物との出会い

 ボートはきれいな氷の世界を走ります。そこにはヒゲアザラシがのんびりと氷の上で休んでいます。ひげが貫禄(かんろく)あるなあ。





 アザラシが逃げないようにボートはそっと近づきます。ふと警戒して顔を上げるとボートは止まります。まるで「だるまさんがころんだ」のゲームをやっているようです。

 他にも北極海ではいろいろな種類の動物に出会えました。夜9時半頃に見られたシロナガスクジラは体長20m~30mにもなるそうです。潮を吹いて少しして背びれが現れる様子で大きさが感じられます。



 今回の航海で最北の北緯79度46分付近で午後に出会ったセイウチです。空は曇っていて暗くクルージングは霧がかかっていて寒かったです。見つけることが難しい中で出会えて良かったです。



 泳ぐセイウチの群れ 
 
 海の上にぷかぷかと浮かんでいる鳥がいます。くちばしがカラフルでとても人気があるパフィンという鳥です。



 パフィンは日本では「ニシツノメドリ」や「エトピリカ」と呼ばれますがパフィンの呼び方も可愛いですね。でも魚や生息地が少なくなったことで絶滅危惧種になっています。生き残ってほしいなぁ。

 夜8時半頃、船の近くにシャチが現れスタッフの皆さんもびっくりしています。今までの航海でシャチを見ることは無かったそうです。シャチの背びれはとても高く氷が背びれに触れることを嫌って北極海にはいなかっということでした。今、ここに現れたシャチはどんな意味をもつのでしょうか。



 北極海で出会うことのできた、生き生きとした動物の姿はとてもステキでした。
 
       

     
                        
2019(R1).6  NO.4

   北極の海

 船は夜中ずっと北上し、北緯79度19分のリリフックブリーンフィヨルドに入りました。このクルージングで初めてのゾディアックボート探索となります。
 防寒用の下着に厚手のズボンとシャツ、フリースの上着にオーバーズボン、パルカという極地用防寒具を着て毛糸の帽子、ネックウォーマー、手袋をして厚手の長靴を履(は)き、カメラ、双眼鏡をもつと重くて船の中では汗がでてきます。でも私の荷物が出てこなかったら、こんなベストな服装ではいられなかったので文句は言えません。



 ゾディアックボートのドライバーは林由希恵さん、日本人の女性です。日本人だけが乗ったボートには北極・南極に数十回も訪れているベテランの通訳と解説をしていただける保阪瑠璃子さんが同乗しました。お二人は私が南極でもお世話になった人達で故郷(ふるさと)に戻ったような気持ちになりました。



 快晴の天気の中、ため息が出るような美しい世界が広がります。









 フィヨルドには氷河が流れ込み、その氷河の先端から海に落ちた氷が無数に漂(ただよ)っています。雪と氷の造形は一つとして同じものはなく、いつまで眺めていても飽(あ)きることはありませんでした。またこの日は天気が良く、より一層の美しい世界となりました。ボートで走っていても寒さをあまり感じる事がなくクルージングには最高の日でした。