【問 8】A、B、Cの3人がDに対して900万円の連帯債務を負っている場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、A、B、Cの負担部分は等しいものとする。
1 DがAに対して履行の請求をした場合、B及びCがそのことを知らなければ、B及びCについては、その効力が生じない。
2 Aが、Dに対する債務と、Dに対して有する200万円の債権を対当額で相殺する旨の意思表示をDにした場合、B及びCのDに対する連帯債務も200万円が消滅する。
3 Bのために時効が完成した場合、A及びCのDに対する連帯債務も時効によって全部消滅する。
4 CがDに対して100万円を弁済した場合は、Cの負担部分の範囲内であるから、Cは、A及びBに対して求償することはできない。
【正解】 2
1(×)連帯債務者の一人に対する履行の請求は、他の連帯債務者に対しても、その効力を生じる(民法434条)。
2(○)連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用したときは、債権は、すべての連帯債務者の利益のために消滅する(民法436条1項)。
3(×)連帯債務者の一人のために時効が完成したときは、その連帯債務者の負担部分については、他の連帯債務者もその義務を免れる(民法439条)。
4(×)連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、他の連帯債務者に対し、各自の負担部分について求償権を有する(民法442条1項)。自己の負担部分を超えなくとも、他の連帯債務者に対して求償権を認めた判例がある。