【問 7】請負契約に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 請負契約が請負人の責めに帰すべき事由によって中途で終了し、請負人が施工済みの部分に相当する報酬に限ってその支払を請求することができる場合、注文者が請負人に請求できるのは、注文者が残工事の施工に要した費用のうち、請負人の未施工部分に相当する請負代金額を超える額に限られる。
2 請負契約が注文者の責めに帰すべき事由によって中途で終了した場合、請負人は、残債務を免れるとともに、注文者に請負代金全額を請求できるが、自己の債務を免れたことによる利益を注文者に償還しなければならない。
3 請負契約の目的物に瑕疵がある場合、注文者は、請負人から瑕疵の修補に代わる損害の賠償を受けていなくとも、特別の事情がない限り、報酬全額を支払わなければならない。
4 請負人が瑕疵担保責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実については、その責任を免れることはできない。
【正解】 3
1(○)請負契約であるものの請負人の責めに帰すべき事由により中途で終了した場合の、残工事に関する問題である。残工事については注文者側で施工することになるが、当初の請負代金を超える費用が発せしてしまった場合、その部分は注文者側が損失を被ることとなるため、その部分に限り請負人に請求できる(判例)。
2(○)請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる(民法641条)。また、自己の債務を免れたことによる利益がある場合には、注文者に償還しなければならない。
3(×)仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる(民法634条1項)。また、注文者は瑕疵の修補に代えて、又はその修補と共に損害賠償の請求をすることができる(民法634条2項)。注文者は請負人から修補に代わる損害賠償を受けるまでは報酬全額の支払を拒むことができるものと解される。
4(○)請負人は、目的物の瑕疵に関する担保責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実については、その責任を免れることはできない。