第五問(契約)

【問 5】Aは、中古自動車を売却するため、Bに売買の媒介を依頼し、報酬として売買代金の3%を支払うことを約した。Bの媒介によりAは当該自動車をCに100万円で売却した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 Bが報酬を得て売買の媒介を行っているので、CはAから当該自動車の引渡しを受ける前に、100万円をAに支払わなければならない。

2 当該自動車に隠れた瑕疵があった場合には、CはAに対しても、Bに対しても、瑕疵担保責任を追及することができる。

3 売買契約が締結された際に、Cが解約手付として手付金10万円をAに支払っている場合には、Aはいつでも20万円を償還して売買契約を解除することができる。

4 売買契約締結時には当該自動車がAの所有物ではなく、Aの父親の所有物であったとしても、AC間の売買契約は有効に成立する。

 

 

 

【正解】   4

 

1(×)Bの媒介はあるものの、売買契約はAとCの間で締結されるため、自動車の引渡し義務と代金支払義務は同時と解される。

2(×)売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる(民法570条)。瑕疵担保責任は、売主に対して追及することができるが、媒介者のBにはできない。ただし媒介者Bが注意義務を怠った等、特段の事情がある場合はこの限りでない。

3(×)買主が売主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる(民法577条1項)。手付倍返しは、いつでも契約を解除できるわけではない。

4(○)他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う(民法560条)。いわゆる他人物売買でも契約は有効に成立し、売主がその物を買主に渡す義務を負うことになる。

 

 

 

 第六問へ

2017年12月25日