第四問(抵当権)

【問 4】AがBとの間で、CのBに対する債務を担保するためにA所有の甲土地に抵当権を設定する場合と根抵当権を設定する場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 抵当権を設定する場合には、被担保債権を特定しなければならないが、根抵当権を設定する場合には、BC間のあらゆる範囲の不特定の債権を極度額の限度で被担保債権とすることができる。

2 抵当権を設定した旨を第三者に対抗する場合には登記が必要であるが、根抵当権を設定した旨を第三者に対抗する場合には、登記に加えて、債務者Cの異議を留めない承諾が必要である。

3 Bが抵当権を実行する場合には、AはまずCに催告するように請求することができるが、Bが根抵当権を実行する場合には、AはまずCに催告するように請求することはできない。

4 抵当権の場合には、BはCに対する他の債権者の利益のために抵当権の順位を譲渡することができるが、元本の確定前の根抵当権の場合には、Bは根抵当権の順位を譲渡することができない。

 

 

【正解】   4

 

1(×)根抵当権が担保すべき不特定の債権の範囲は、債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない(民法398条の2第2項)。

2(×)「異議を留めない承諾が必要」という規定はない。根抵当権においても第三者対抗要件は登記である。

3(×)抵当権、根抵当権ともに実行の際、催告の抗弁権は認められていない。

4(○)抵当権については、他の債権者の利益のために順位を譲渡し若しくは放棄することができる(民法376条1項)。一方、根抵当権の場合元本確定前においては、順位の譲渡、放棄はできない(民法398条の11第1項)。

 

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2016年03月25日