第三問(権利の取得・消滅)

【問 3】権利の取得や消滅に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 売買契約に基づいて土地の引渡しを受け、平穏に、かつ、公然と当該土地の占有を始めた買主は、当該土地が売主の所有物でなくても、売主が無権利者であることにつき善意で無過失であれば、即時に当該不動産の所有権を取得する。

2 所有権は、権利を行使することができる時から20年間行使しないときは消滅し、その目的物は国庫に帰属する。

3 買主の売主に対する瑕疵担保責任による損害賠償請求権には消滅時効の規定の適用があり、この消滅時効は、買主が売買の目的物の引渡しを受けた時から進行する。

4 20年間、平穏に、かつ、公然と他人が所有する土地を占有した者は、占有取得の原因たる事実のいかんにかかわらず、当該土地の所有権を取得する。

 

 

【正解】   3

 

1(×)無権利者から譲り受けても所有権は取得できない。表見代理等が成立する状況であれば議論の余地はあるが、売主が無権利者であることにつき、善意・無過失であるというだけでは即時に不動産の所有権を取得できない。

2(×)所有権は時効消滅しない。債権は十年間行使しないときは消滅する。債権又は所有権以外の財産権は二十年間行使しないときは消滅する。

3(○)瑕疵担保責任による損害賠償請求権は売買の目的物の引渡しから10年で消滅する。これは瑕疵担保責任に伴う損害賠償請求権は売買によって法律上生じる金銭債権であるので、一般の債権と同様10年間で消滅するとした判例による考え方である。

4(×)占有開始の原因が新貸借等、他主占有であるときには取得時効は成立しない。

 

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2016年03月25日