第二問(代理)

【問 2】代理に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはいくつあるか。

1 代理権を有しない者がした契約を本人が追認する場合、その契約の効力は、別段の意思表示がない限り、追認をした時から将来に向かって生ずる。

2 不動産を担保に金員を借り入れる代理権を与えられた代理人が、本人の名において当該不動産を売却した場合、相手方において本人自身の行為であると信じたことについて正当な理由があるときは、表見代理の規定を類推適用することができる。

3 代理人は、行為能力者であることを要しないが、代理人が後見開始の審判を受けたときは、代理権が消滅する。

4 代理人の意思表示の効力が意思の不存在、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、本人の選択に従い、本人又は代理人のいずれかについて決する。

 

 

【正解】   2

 

1(×)追認した場合、当該契約は当初から有効な契約として効果が生ずることとなる。本肢のように追認時から有効な契約となるわけではない。

2(○)権限外の代理行為であるので原則は無効である。しかしながら、相手方において本人自身の行為であると信じたことについて正当な理由があるときは、相手方を保護する必要があるため、表見代理の規定を類推適用できると考えられている。

3(○)代理人は行為能力者であることを要しない。これは行為能力者でないことをわかっていて代理人に指名した本人の責に帰すべき事由だからである。一方、代理人に指名した後に後見開始の審判を受けた場合には、本人保護の必要性から代理権は消滅する。

【代理権の消滅事由(民法111条)】

 ① 本人の死亡

 ② 代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたこと。

4(×)意思表示の効力が意思の不存在、詐欺、脅迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする(民法101条1項)。 

 

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2016年03月25日