第一問(民法条文)

【問 1】次の記述のうち、民法の条文に規定されているものはどれか。

1 賃借人の債務不履行を理由に、賃貸人が不動産の賃貸借契約を解除するには、信頼関係が破壊されていなければならない旨。

2 当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる旨。

3 債務の履行のために債務者が使用する者の故意又は過失は、債務者の責めに帰すべき事由に含まれる旨。

4 債務不履行によって生じた特別の損害のうち、債務者が、債務不履行時に予見し、又は予見することができた損害のみが賠償範囲に含まれる旨。

 

 

【正解】   2

 

毎年第一問に出題される条文問題ですが、非常に難易度が高く、得点源にはなりえません。条文の暗記は重要条文のみに留めておき、その中から出題されたら得点できるようにしておいてください。試験本番ではくれぐれも深追いしないよう心掛けましょう。

 

1(×)いわゆる「信頼関係破壊の法理」ですが、条文上に規定があるわけではない。民法上の条文では賃貸借の当事者はいつでも解約の申入れができ、一定期間経過後に終了するとされている。

2(○)当事者は債務の不履行について損害賠償の予定をすることができる。この場合において、裁判所は、その額を増減することができない(民法420条1項)。損害賠償の予定については、宅建業法のところでも出題されることがあるので、しっかりと条文を抑えておきたい。

3(×)債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者はこれによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする(民法415条)。この「債務者の責めに帰すべき事由」に履行補助者の故意・過失が含まれるかどうか議論があるが、条文で規定されているわけではない。

4(×)特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者はその賠償を請求することができる(民法416条2項)。債務者が予見できたのみならず、債権者が予見できた損害も賠償範囲に含まれるので、本肢は誤り。

 

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2016年03月25日