【問 11】Aは、A所有の甲建物につき、Bとの間で期間を10年とする借地借家法第38条第1項の定期建物賃貸借契約を締結し、Bは甲建物をさらにCに賃貸(転貸)した。この場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。
1 BがAに無断で甲建物をCに転貸した場合には、転貸の事情のいかんにかかわらず、AはAB間の賃貸借契約を解除することができる。
2 Bの債務不履行を理由にAが賃貸借契約を解除したために当該賃貸借契約が終了した場合であっても、BがAの承諾を得て甲建物をCに転貸していたときには、AはCに対して甲建物の明渡しを請求することができない。
3 AB間の賃貸借契約が期間満了で終了する場合であっても、BがAの承諾を得て甲建物をCに転貸しているときには、BのCに対する解約の申入れについて正当な事由がない限り、AはCに対して甲建物の明渡しを請求することができない。
4 AB間の賃貸借契約に賃料の改定について特約がある場合には、経済事情の変動によってBのAに対する賃料が不相当となっても、BはAに対して借地借家法第32条第1項に基づく賃料の減額請求をすることはできない。
【正解】 4
1(×)無断転貸は賃貸人との信頼関係が破壊されているとの特段の事情がない限り、賃貸借契約を解除できないとするのが判例の立場である。
2(×)債務不履行による解除は、もはや信頼関係が破壊されていると考えられるため、賃貸人は転借人に対し、明渡しを請求できる。
3(×)建物の転貸借がされている場合において、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときは、建物の賃貸人は、建物の転借人にその旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない(借地借家法34条1項)より、通知によって転借人に対し、明け渡しを請求できる。
4(○)定期建物賃貸借で借賃増減請求権にかかる特約がある場合には、経済的事情等の変動に基づく賃料の減額請求はできない(借地借家法38条7項)。