かなり長い時間高速船はスピードを上げて走りました。天気は悪いのですが湾の中は波が静かなのと双胴船ということもあり、あまり揺れることはありませんでした。やがて船は速度を落とし始めました。目の前にはカレッジフィヨルドの先端にあるハーバード氷河が姿を現しました。



 氷河の先端はときどき崩れて海が盛り上がりを見せることもありました。何よりも氷河の青さがすごいです。
 高い山に降ったたくさんの雪が何年もかけて押し固められ、少しずつ大地を削りながらこの海まで来たのだと思うと迫力を感じます。



 本当に素敵な氷河クルーズでしたが、来年以降は開催されない可能性があるとのことでした。なぜでしょう。

 2022年11月世界的な経済誌Forbesが報告した記事によると、氷河クルーズ船出発地のウッティアから50kmほど離れたバリーアーム湾で氷河の地滑りが発生する可能性が高まったとありました。
 過去にアラスカでは地震で起こった岩盤地滑りにより524mもの津波を引き起こした事例がありました。今度の氷河地滑りはそれを越える高さが予想されるとのことで、観光船だけでなくそこに居住する人々にも「最適な判断を下し、地域への立ち入りを極力避けるべき」という警告が出たのです。



 地球温暖化による氷河の後退が世界中で報告される中、アラスカではそのような危険が生まれようとしています。今後の観光、そして氷河はどうなってしまうのでしょうか?



 その後、少し遠かったのですがシャチの群れやトドの群れに出会うことができました。この動物たちも今後どうなってしまうのか?不安な気持ちにもなりました。楽しさと不安が入り交じった気持ちでプリンス・ウィリアム湾をもう一度眺めました。

 翌朝3時30分にホテルを出発し、アンカレッジからシアトルへ。シアトルで乗り換え成田へ。目的を果たし待ち時間の長い旅を無事終了しました。




          

      


                  
 2024(R6).9 NO.4 


 9:30にホテルを出発しました。今日もあいにくの雨です。100km 2時間のバス乗車で今日のクルーズ乗船地ウッティアに向かいます。途中に陸路でウッティアに向かうためにはどうしても通過しなければならないアントン・アンダーソン記念トンネルがあります。



 このトンネルはアラスカ鉄道と自動車が共に使う単線のトンネルです。。バスは上り下りの鉄道とウッティアから来る自動車の通行時間はトンネルに入れません。長い時間入るのを待たなければなりませんでした。そのため自動車は何列にもなって信号が変わるのを待ちます。
 やっと信号が青になりバスが動き出しました。4100mのトンネルは単線ですから鉄道と重なり線路の上を走って行きました。走り出すと10分ほどで通過しウッティアに到着しました。



 ここで双胴の高速船クロンダイク・エクスプレスに乗り換えて出発です。席は2階席ですが、人は満席で見学をする時は苦労しそうでした。
 プリンス・ウィリアムズ湾は南側を流れる暖流のせいで雪が多く、5月中旬から9月中旬まで氷河を見学するクルーズが楽しめます。動物も多く、ザトウクジラ・オットセイ・アザラシ・ラッコ・シャチなどが見られます。また山裾にはクマ・シカ・ドールシップなども現れることがあり楽しみです。



 でも今日は乗船時からさらに雨が強くなってしまいました。視界が悪くなり海も山も暗い感じで本当に残念です。この湾では数多くの氷河が見られます。走る船からも右に左に急な山から氷河が海近くまで流れ落ちています。アラスカの険しい姿をここでは見せています。
 



 氷河の名前の説明もありましたが、外で見学している私の耳には高速船のスピードが出す風の音ばかり聞こえていました。