私はメダルの重さを感じました。何年も何年もオリンピックや世界選手権大会を思い、時には辛い思いもしながら練習をしてきた者だけが手にできるメダル。ひかるさんの努力を本当にほめてあげたいと思いました。またその大切なメダルを人に掛けてあげられるやさしい気持も育っていることを感じて、お父さんやお母さん、コーチ、周囲の仲間にも素晴らしい人々がいるんだと安心もできました。
今後ひかるさんは東京オリンピックに向けて努力していくことでしょう。私は怪我の無いように、日々の練習が充実していくように、ひかるさんが相模原で語った「オリンピックでメダルを取ること」の夢が叶うように応援を続けていこうと思いました。
余談ですがそそっかしい私は会場で挨拶に来てくれた若くてよく似ているお母さんに、ひかるさんと間違えておめでとうをたくさん言ってしまいました。すみません。(^_^;)
でも一緒に喜べて本当に幸せでした。
素敵なメダル
平成29年11月13日、テレビのニュースが世界トランポリン競技選手権の女子シンクロ競技銀メダルを伝えました。そこには森ひかるさんが映っているではありませんか。私は思わず腰を浮かし画面に見入ってしまいました。大きなジャンプ、難しい技のシンクロが乱れず最後まで続いています。
次にひかるさんと髙木選手の喜び合う姿が映し出されました。私は感動してしまいました。あの小学4年生の時の演技会で将来は「オリンピックに出てメダルを取ることです」と目標を語ってくれたひかるさんが同等の世界選手権大会で銀メダルを手にしたのです。こんなに嬉しいことはありません。
平成29年11月28日、日本体操協会は体操競技、新体操、トランポリンの2017世界選手権 体操ニッポン選手団 祝勝会を行いました。私はその会場に行く機会を得て会場内で待ちました。会が始まり登壇した選手達の姿の中に相模原で演技を行っていただいた選手達が見えます。体操競技の内村航平選手、谷川航選手、宮川紗江選手。そしてトランポリンの森ひかる選手の姿もありました。メダルを首に掛け成長した立派な姿でした。
私はその時ひかるさんは平成21年、内村航平選手と同じ演技会で演技を披露してくれたんだなあと感慨深い気持でした。やがて紹介が終わり乾杯が発声され会場はにぎやかな雰囲気となりました。私は会場内に散った選手達を遠目で見ながら食事をしていました。
その時、私のすぐそばにひかるさんが来ました。なんとひかるさんのお父さんが連れてきてくれたのです。私は握手をして心からおめでとうを言いました。細くて小さかったひかるさんが世界選手権大会の銀メダルを掛けて自分と握手をしている。夢のようでした。そしてひかるさんは自分に掛けていた銀メダルを外すと、なんと私の首に掛けてくれたのです。信じられない思いでした。

そのような中でいよいよトランポリンの選手達が登場しました。森ひかる選手は2番手です。男子選手の高いジャンプの演技が終了すると森選手が紹介されました。何だかとても緊張しているようです。大丈夫だろうか。頑張れ!
私は自分が演技をするかのように緊張しました。
森選手は美しい線の予備ジャンプから演技に移りました。しっかり跳ねたジャンプから前方2回宙返り、後方2回宙返り、ひねりなどを加え、背中でも弾みます。観客のみなさんはびっくりしています。かわいい選手の大胆な演技が終了すると拍手がたくさんありました。
私は本当にほっとしました。ミスも無く素晴らしい演技をしてもらい責任を果たしてくれたんだと感謝もしました。それでもトランポリンから降りると、緊張が解けたのかほっとした顔で四つんばいでエバーマットの上を戻って来る様子がありました。私は思わず微笑んでしまいました。すごい演技を見せてくれてもやっぱり小学生だったんですね。大変な緊張の中だったと思います。本当にご苦労様でした。
私は演技会後も相模原に来て演技をしてくれた親しみのある選手達を応援していました。情報が入るたびに私は喜んだり悔しがったりしたものです。その中で私は小さな選手だった森ひかるさんが特に気になっていました。12歳で世界年齢別選手権大会(11歳-12歳)優勝の知らせは本当に嬉しかったです。14歳では史上最年少となる全日本トランポリン選手権大会優勝を果たし、すごいと周囲をうならせました。いつの日か相模原にまた来てもらいたいといつも考えていたのです。
以前川崎で国際トランポリン大会が開催されました。相模原から近いこともあるので応援に行きました。ぜひ成長したひかるさんの姿を見たいと思ったのです。しかしその時会場にはひかるさんの姿はありませんでした。残念ですが私はひかるさんがケガでもしたのではないかと心配をしました。
H29(2017).11
小さな招待選手
平成21年(2009)11月1日 相模原市北総合体育館に日本を代表する体操競技、新体操、トランポリンの選手達が集まりました。相模原市体操協会の25周年記念演技会が開催されたのです。会場は満員となり1600名の観客の熱気であふれていました。そこにはつい先日、世界体操選手権大会で優勝した内村航平選手もいたからです。多くの観客の皆さんは内村選手が目当てだったと思いますが、私達体操協会実行委員は招待した選手達はいずれ劣らぬ成績を持ち、将来世界の大会で活躍する選手達だと思っていました。

実は5年前の記念演技会でも体操の美濃部ゆう選手を招待したのですが、その時美濃部選手は将来オリンピックに出場したいと夢を語ってくれました。そしてこの日その夢を叶えて相模原に再び来てくれたのです。しかも北京オリンピック女子団体5位の成績をもってです。各種目にはそのような素晴らしい選手達がそろっているのでした。
その中で今までで一番小さい招待選手がいました。トランポリン競技、小学校4年生の森ひかるさんです。ひかるさんは全日本ジュニア低学年女子の部で優勝。全日本トーナメント9~10歳の部優勝という素晴らしい成績を持っていました。同世代の中では本当にすごい成績なのです。しかし大人ばかりの選手の中ではとても小さくて、十分に演技ができるのだろうかと心配になってしまいます。
演技会が始まりました。新体操男子選手の華麗な演技から始まり、器械体操男子の力強い演技、女子選手の高度な技、どの選手も自分の種目の持てる力を最大限に発揮します。他の種目に負けられないという気持が出てきたのかも知れません。いよいよ内村選手が登場しました。世界チャンピオンの吊り輪はどの姿勢も本当に美しく力強い演技で会場の中はため息が出ます。着地をぴたりと止めると大きな拍手が鳴り止みませんでした。
