ほっとすると先ほどの父親と息子さんの会話とも言えないような会話を思い出しました。私には全く理解できなかった発音が父親には理解できていたのですね。身体や言葉の不自由さを持つ息子さんがいることで父親はたくましい腕を持ち、微妙な発音の違いや表情で相手の気持ちを理解できる力を身につけていることを感じました。
そういえば・・・・
私が車を購入しているセールスマンの人は毎月必ず家に寄っては「お車の調子はどうですか」と声をかけてくれます。人の気持ちをそらさない誠実な人柄なのですが、やはり息子さんが障がいを持っており家族みんなで支え合っていると聞いたことがあります。障がいを持つ家族がいることで確実に周りの人の力が高まっていることを考えれば、本当は与えられているのは周りにいる人達なのかも知れません。
こうやって私が色々考えることができたのも、その人が一緒にお風呂に入っていたからだと思うと感謝すべきという気持ちにもなります。とは言えやはり介護は大変です。もし手伝えることがあったら勇気を持ってやってみようと思いました。
H17(2005).5
以前日帰り温泉に入っている時、30歳を過ぎていると思われる身体に障がいを持つ方が白髪の父親と一緒に体を洗っているのに気がつきました。言葉にも障がいがあるようで、私が聞いていても何を話しているか分かりませんでした。洗っているといっても父親がすべてやってあげているようで大変だなあと思いました。
さて体を洗い終わって湯船に移動する時に息子さんは一人では歩けず、父親が両手で息子さんの体を持ち上げて運びだしたのです。思わず手伝おうと体を動かし始めたのですが、その重そうな体を運んでいる父親のたくましい腕を見て動きが止まってしまいました。体は細い父親ですがその腕は本当にたくましく、その場では手伝う余地がないと判断したからです。
父親は息子さんを湯船につけるとそのまま洗い場に戻り自分の体を洗い始め、息子さんの方を見ることもなかったのです。私はもし体のバランスを崩したらと心配して様子を見ていましたが、息子さんは湯船でふわふわとしながら周りを見ていました。心配することも無いようなので安心しました。