2日目の夜はキャンプファイヤーが行われました。ファイヤーの炎がまっすぐ立ちのぼるような風もなく絶好の条件でした。実はこのファイヤーの点火には仕掛けがありました。薬品を使い火の神のかけ声もろとも自然発火する装置です。子供達のビックリする顔を教員達は楽しみにしていたのです。
さあ火の神が現れました。儀式の後、大きく杖を振って火の神がかけ声を掛けます「ええい!」火がつきません。あれ?もう一度。「ええい!」またつきません。火の神にもあせりが見られます。しかし私は見ました。ひそかに地面を掘り起こしている人影を。「ええい!」3回目のかけ声でジュッという音がしたとたん組んだファイヤーのマキが炎に包まれました。大歓声が湧き上がりやっとキャンプファイヤーがスタートしました。

ファイヤーでは出し物があります。来る前に学級で話し合いをして準備したものです。どのクラスも大いに盛り上がり楽しい一時になりました。ちなみに私のクラスの出し物は「報道特別番組 桃太郎鬼ヶ島に行く」でした。桃太郎の鬼退治に現代のマスコミが司会を中心に実況中継やインタビューを行うというストーリーです。アイデアも良くかなり受けて楽しんでいました。
キャンプも3日目になるとみんなの要領も良くなり、リーダーの指示がてきぱきしてきます。それを受けて動く方もやり方が分かっているので連携がとても良くなります。成長したなと感じる一瞬です。最後の片付けもてきぱきやっているのですが、担当の美化係は恐ろしいほど厳格でした。
返却する鍋や釜の洗い方が不足していると突き返されてしまいます。「ご飯粒が残っている。やり直し!」「油がまだついている。やり直し!」「すすがまだとれていない。やり直し!」キャンプ場のおじさんが「もういいですよ。こんなにピカピカではなかったですから」と驚くほど徹底した磨きをさせていました。でもみんなは美化係がOKを出すまで頑張りました。教員もビックリでした。
この3日間のキャンプは何から何まで不便で家庭の便利さが身にしみたことでしょう。でも子供達はそんな生活を経験してたくましくなっていきます。炊飯や清掃もそうですが、お互いの連携や自分の果たす役割、責任感が本当に素晴らしく育ったと思います。子供達に何を与えるかではなくて、どう不足させるかも大切なことなのでしょう。キャンプで付けた力が将来にきっと役立つと思います。
S63(1988).6
キャンプでつけた力
前日までの不安な天気を吹き飛ばした快晴のもと、キャンプがスタートしました。私達教員は間違いなく晴れるとお天気祭りで予想していたのです。この快晴の天気は3日間続き素晴らしい条件になりました。
西湖湖畔でのキャンプは2年生の一番大きな行事です。準備も大変で普段使っていないものが多いため、チェックに時間がかかります。子供達も同じで普段持参しない用具は忘れることも多いのです。
キャンプ場での生活が始まりました。さあ炊事だと思ったとたん各班からは「あれ?○○がない!」「あれもないぞー!」の声が飛び交います。一瞬みんなの顔に不安の色が。しかし「誰だよ-」と少しの間文句を言い合った後は「まあいいか」と炊事を始めていました。たくましいですね。
でも先が思いやられるなあ(^_^;)
炊事では慣れないこともあり初め大変でした。「先生!火が消えちゃった-」「火がつかない」あちこちから聞こえます。行ってみるとかまどにマキを詰め込むだけ詰め込んで火をつけようとしていたり、マキの上に新聞紙をおいて火をつけたり煙だけが立ちのぼり、みんなは煙にむせているのでした。
本当にこれで食べられるようになるのか?私は不安になりました。何しろ教員は子供の班に入って一緒に食べることになっていたからです。いいかこうやってマキを組んで新聞を軽く丸める。細い木や薄い木の皮を置いて火を付けたら細く長く息を吹きかけるんだ。と指導をしたところ各班では火が立ちのぼるようになり、ほっと一安心でした。炊飯担当、おかずの担当、味噌汁の担当とだんだん機能し始めました。なかなかうまく作れた夕食は美味しく私はみんなをほめました。しかし。
翌日の夕食は焼きそばだったのですが、私が少し遅れて席に着くと、班のみんながニヤニヤしています。変だなあと思いながら焼きそばを食べましたが、・・・何というか・・・でもせっかく生徒が作ってくれたのだからと私はなんとか全部食べました。後で聞くとチョコレートとジャムとオレンジ、それがソース味で仕上げられていたというのです。全部食べた私に一人の女の子が「さすが変態ーですね」とほめてくれました。やったなー!
