ロストバゲージ!

 なんと私のスーツケースを含め10人ほどの荷物が出てきません。空港職員に問い合わせても行方不明ということでした。飛行機は1日おきしか来ないので船の出航までに間に合うか分からない状況となりました。これからもっと寒さの厳(きび)しい所に向かうのに防寒具がほとんど手元にないなんて・・。(-_-;)

 仕方がないので手続きをしてホテルに向かいました。不安な気持ちでホテルに着き受付をしている間おしゃべりをしているとホテルの人に静かにするようにたしなめられました。そうだ。今は深夜の2時なんだと改(あらた)めて気がつきました。白夜の世界はいろいろなことが起きてしまいます。



 宿泊したホテルはBASECAMP HOTEL(ベースキャンプホテル)と看板がありました。中は木材がふんだんに使われ山小屋風の温かみのある室内でほっとしました。窓には分厚い毛布のようなカーテンが掛けてあり、閉めるとかなり暗くなります。白夜の国の工夫なんですね。その日は3時頃の就寝(しゅうしん)となりました。



 目が覚めると5時半で、2時間しか寝ていないのに起きてしまうのでした。荷物はザックに入っているものだけなので、そのままの服装で体を動かしました。室内は暖かいので少し汗も出てきました。万が一の場合に備えて薄手のダウンとネックウォーマー、綿の手袋だけは入れてあったので、全て着て散歩に出てみましたが、やはり足が寒かったです。



 外はまだ早いのか誰もいません。雪もちらついています。曇っているせいか朝昼夜の区別がつかない空でした。誰もいないのでホッキョクグマの不安も出てきてあまり遠くまで歩けませんでしたが、荷物がない中でこの寒さをどう乗り越えようかといろいろ考える事ができました。7時に戻って朝食としましたが、暖かいスープが身にしみました。

 この日、添乗員さんと相談して防寒用の衣服を保険で買うことにしました。明日が日曜日のため店が開いているか不安があったからです。
 オーバーズボンや手袋、靴下や下着を購入してみると物価が高いせいか保険額10万円の範囲では十分な衣服は購入できませんでした。あるもので行くしかないなと覚悟を決めました。でもカメラの充電器が無くそのことは本当に心残りです。
 


 こんな服が欲しいなー(-_-;) 

        

          
                        
2019(R1).6  NO.1

  北極圏の島

 平成28年(2016)1月に南極を訪れました。雄大な雪と氷河の大陸を目(ま)の当たりにして、そこに生きる動物たちの姿に本当に感動しました。



 南極の旅を終えてみると、どうしても北極のことが気になってしまう日が続き、頭から離れなくなっていました。ある日、北極のパンフレットを見る機会があり、心が動き出しました。北極にも行こうと決めるのには時間がかからなかったように思います。南極とは違う雪と氷の世界を見てそこに生きる動物たちとぜひ会ってみたいと思いました。

 パンフレットには北極点に行くツアーもありましたが、私は動物を近くに観察できる方が良いと考え、北極圏の島を巡(めぐ)るクルーズを探しました。南極と同じようにボートで動物に近づいたり、上陸して極地の島を体験したいと考えたからです。
 その時、スヴァールバル諸島スピッツベルゲン島の事を知りました。北極圏にありホッキョクグマをはじめ多くの動物が見られる地域だということでした。また空港もあり、飛行機で現地に入れることから時間短縮にもなります。



 令和1年(2019)6月7日、成田空港を出発してコペンハーゲン、オスロ空港を経由してスピッツベルゲン島のロングイヤービェン空港に深夜の1時に到着しました。22時間の旅でした。深夜だというのに本が読めるほど明るく時間の感覚がなくなってしまいます。これが白夜(びゃくや)なんだと驚くと同時に感心しました。この明るさのなかで人も動物たちも生きているのですね。