第八問(同時履行の抗弁権)

【問 8】同時履行の抗弁権に関する次の記述のうち、、民法の規定及び判例によれば、正しいものはいくつあるか。

ア マンションの賃貸借契約終了に伴う賃貸人の敷金返還債務と、賃借人の明渡債務は、特別の約定のない限り、同時履行の関係に立つ。

イ マンションの売買契約がマンション引渡し後に債務不履行を理由に解除された場合、契約は遡及的に消滅するため、売主の代金返還債務と、買主の目的物返還債務は、同時履行の関係に立たない。

ウ マンションの売買契約に基づく買主の売買代金支払債務と、売主の所有権移転登記に協力する債務は特別の事情のない限り、同時履行の関係に立つ。

 

1 一つ

2 二つ

3 三つ

4 なし

 

【正解】  1

個数問題は全ての肢について、正しく正誤判定できないと得点できません(偶然、取れてしまうこともありますが)。ですので、あまり時間をかけずに解答したいものです。本問のアとウは比較的典型的な論点ですので覚えておいてください。形を変えて出題されることも考えられますので。

 

ア(×)敷金返還債務は明渡しがなされたときに発生します(判例)。よって敷金返還債務と明渡債務は同時履行の関係に立ちません。

イ(×)債務不履行解除の場合、契約は遡及的に消滅します。この場合、売主は代金を得たことによる利益があり、買主はマンションを利用できたことの利益があると考えられます。よって双方を平等に扱うため、売主の代金返還債務と買主の目的物返還債務は同時履行の関係に立ちます。

ウ(○)売買契約に基づく代金支払債務と、所有権移転登記に協力する債務は同時履行の関係に立ちます。典型論点なので覚えておきましょう。

 

 

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2016年03月22日