演技前にガンバ!という子供達の声援がとびました。曲はゆっくりしたメロディで始まり柔軟性を見せます。その間リボンは止まることなく動いています。曲が早くなりました。先ほど説明のあったフェッテピボットが始まりました。すごいスピードで軸がぶれることなく形を変えながら美しく回転します。何回回転したのでしょう。数えることもできないくらい行います。リボンの投げ上げも全てキャッチし、えっもう終わっちゃうの?と思わせる程充実した演技でした。

レポートNO.12

 さあ演技も終盤になりました。女子器械体操の最終演技者、大島杏子さんです。6歳の時から始めた体操です。塩山コーチの説明です。大島選手は体線のきれいな選手です。車輪で倒立をすると手から足の先までピンと伸びた演技が見られます。

 演技が始まり体線がきれいに伸びた車輪を次々とひねっていきます。その車輪から続けて閉脚のイエーガー宙返りが決まります。そして低棒へ、また高棒へ移動があり、最後は逆手車輪から前方の2回宙返りが決まりました。どこをとってもきれいな線のイメージの演技でした。大きな拍手がありました。

  今度は新体操女子の最終演技者です。大貫友梨亜選手は新体操を始めたのが4歳の時です。その大貫選手のリボンの演技を披露してくれます。先日行われた全日本選手権でフープ、ボールの種目で1位となりました。

 長谷川先生の説明です。リボンは6mの長さで身長の3.5倍あります。重さは35gと軽いため風や湿度の影響を受けやすいのです。そのため選手は条件の悪い状況での練習も行います。このリボンの演技には片足でまわるフェッテピボットという技がたくさん入ります。大貫選手は国際大会でもこの技が評価されています。今日はその技を成功させてください。

 最後に塩山コーチからお話がありました。2名の選手は今日は素晴らしい演技ができ、皆さんに喜んでいただけたと思います。二人とも次のオリンピックに向けて頑張ると言っていただいたので、私達はそのサポートをしっかりできるように頑張っていきたいと思いますのでこれからもよろしくお願い致します。
会場では朝日生命体操クラブの皆さんへの拍手が鳴りやみませんでした。

jpksga

 大島杏子選手のお話です。先月行われた世界選手権では自分の演技ができず悔しい思いをしたのですが、それでふんぎりが着いて3年後のロンドンオリンピックに3度目の挑戦をしようと今新たな気持ちで頑張っています。まずは今月の全日本大会で自分の演技が出来るように頑張ります。応援よろしくお願いします。

 大貫選手のお話です。今年は三重での世界選手権など大きな大会がありまして、とても充実した一年間でした。今シーズンの大きな大会は全て終わってしまったんですが、また次に向けて新たな気持ちで頑張っていきたいと思います。

 最後に長谷川先生よりお話がありました。このように多くの皆様方の拍手を頂き、応援を頂きながら演技をさせて頂いたことはとても幸せに思います。全日本学生選手権大会では59連勝中です。この大会が始まって以来負けていないのです。選手には大きなプレッシャーがかかります。ここで負けると歴史に名前が残る選手になってしまいます。そこで私達は練習の場で多くのプレッシャーを与え、多くの涙を流させます。試合で笑ってほしいから練習ではきびしく、冷たく、意地悪になります。この選手たちがそれに応えて演技を素晴らしく成長させてくれることに感謝もしています。また今日は皆さんの応援をたくさん頂きましてありがとうございました。お話が終わっても拍手はなかなか鳴りやみませんでした。

 さあいよいよこの演技会の最終演技者になりました。内村航平選手です内村選手は3歳の時から体操を始めています。世界チャンピオンの鉄棒の演技を見るために観客は一人も席を立つことはありません。

 内村選手の紹介に趣味は寝ることとアナウンスがあると会場は笑いが起こりました。具志堅先生の説明があります。先ほど今日はどんな演技構成で行くのかなと聞いてみた所、全部やります。攻めてみたいと思いますと力強い言葉が返ってきました。この言葉に観客から大きな拍手がありました。最後の演技者終わりよければ全て良し。市長さんも来られました。もう失敗するわけにいきません。具志堅先生はプレッシャーを掛けました。

 演技は大きな振り出しから正車輪に移ります。回転のスピードを上げました。伸身コバチです。シタルダーひねりを挟んで今度は屈伸コバチです。朝日生命体操クラブの大島さん、美濃部さんから「持って」という大きな声がかかります。車輪からのひねりが続き、さあ最後の手離し技、コバチを1回ひねったコールマンです。鉄棒高く浮いたからだが回転していきます。つかんでと会場の全ての人が思ったことでしょう。内村選手の手はしっかり鉄棒を握りました。3つの手離し技を成功させ、車輪が最後のフィニッシュの準備に入りました。そして手が離れると伸身の新月面宙返りはきれいな弧を描きマットに吸い込まれます。「着地」と声がかかりました。左足が1歩さがりましたが素晴らしい演技に会場は興奮していました。

 内村選手のお話です。本日はありがとうございましたとお話を始めた時、具志堅先生が内村選手の体が正面に向くようにそっと直して下さいました。会場からは暖かい笑いが起こりました。
 さっき行った演技なんですが着地が大きく動いてしまってそこが満足いってないんですが、3年後に行われるロンドンオリンピックではしっかり着地を止めていけるようにこれから練習していきますので皆さん応援よろしくお願いします。

 最後に具志堅先生からお話がありました。1970年監物選手が、次の大会で笠松選手が、2005年には富田選手が、そして今年、内村選手は日本の体操界で4人目の世界選手権チャンピオンになりました。過去3人のチャンピオンはオリンピックでは優勝していません。また東京オリンピックで遠藤選手、メキシコ・ミュンヘンの加藤選手、そしてロサンゼルスの具志堅は世界選手権では優勝していません。つまり両方の大会でチャンピオンになった選手は日本にはいません。ロンドンオリンピックではその両大会の優勝に輝いてくれるのではないかと期待しています。大きな拍手が起こりました。さらに具志堅先生がこの拍手がロンドンオリンピックまで続きますように応援お願いしますと締めくくると会場はあふれるような拍手がずっと鳴り響いていました。 すべての演技が終了しました。選手の皆さんありがとうございました。

 拍手はなかなか鳴りやみません。具志堅先生が世界選手権と同じくらい感動しています。素晴らしい。よく挑戦しましたと褒めています。花束を贈呈した相模原の女子選手にうらやましいと感じるどよめきも起こりました。