今必要な家具をむかしながらの指物で作る
和竿収納箱(会津三島桐製)



<製作ノート>
和竿のことはほとんど知らなかったのですが、お客さんから、継ぎ手の部分が湿気の影響を受けやすいと教えていただきました。そのためその部分には糸で巻いて漆を塗るなどの工夫をしてあるとのこと。しかし、できれば湿度の影響を受けにくい場所に保管しておきたいと、桐の収納箱をご注文いただきました。

ご存知のように桐は、空気が乾燥したときは水分を吐き出し、逆に梅雨など湿気が多いときは水分を吸ってくれます。いわば自然のエアコンの役目を果たしてくれます。ですから大切な和服などの衣類はむかしから桐の箪笥に収納するようにしてきたんですね。またこの桐は、火事にも強いんです。火がついても周りだけ焦げて中身を守ると言われています。

さて、この箱のデザインですが、どこかで見たような、と思いませんか?そう、昔からある大工さんの道具箱。ふたの開閉はちょいと横にずらして持ち上げるという、非常に簡便なもの。 woodwork NAGAOでは、これをすべて釘を使わない指物の工法でつくりました。桐同士が湿度で動くのを自由にさせ、しかも狂いを抑えるという、むかしながらのやりかたです。