今必要な家具をむかしながらの指物で作る
woodwork NAGAOの仕事/猪口陳列棚(総会津三島桐製)



◎作品名:猪口陳列棚
◎素材:会津三島桐無垢 <18万円(税・送料別)>
<製作ノート>
ある和風料理店の店主だと思うのですが、『お客様に1個ずつ好きなぐい飲みや猪口を選んでもらって(または持参してもらって)、それを飾っておく棚をつくってほしい。』というご依頼がありました。
これは私にとって、とてもうれしいご注文です。
陶器や磁器というのは当然ながら土からできています。こうした自然素材と木はとてもよく合うんですね。私自身も焼き物は大好きで、旅に出るたびに、目に付いたその土地の器を手に入れては家で使っています。手でひねると同じ物でも微妙にひとつずつ形や模様が違うんですね。それがとても味わい深い。使っているうちに色が変わり、模様が変わる・・・そう風景が変わってきます。これも大きな楽しみ。

さて、この飾り棚ですが、通常なら横板を渡しておけば収納力も上がります。でも、スタッフと意見交換しているうちに、お客さんの猪口1個1個に独立した空間を持たせるほうがいい。そして、その空間も縦横のバランスが見て気持のいいものにしたい。つまり葉書やマッチ箱に用いられている日本の黄金比1:√2の比率でつくろう、と話がまとまりました。

素材は当然、桐です。しかも日本産の桐。手元に会津三島の最高級の桐があったのでこれをつかうことで全員一致。
箱ものというのは、1個1個の部材が完璧に直角が出ていてはじめて精巧な箱がつくれます。この飾り棚は仕切りの部材が特別に多い。つまりそれだけ鉋削りの腕が要求されるわけです。
部材一個にいたるまですべて手作りのこの棚。つくった本人にしてみれば、お金に代えられない作品です。


※本作品は、第二期卒業生 比嘉やすお の作品です。