カンナが切れない -Part 2- |
《刃と裏金》について |
問題1. 刃裏と裏金が密着していないと、そこに削り屑が詰まって切れなくなります。対処法としては a.刃と裏金の裏出しを完全にする。 裏出しについては他の木工書に詳述されていますので、ここでは私が体験した解決法を書いておきます。 <釘しめで裏出しをする>金床の端に刃を置いてしのぎ面をげんのうでたたく…という方法が一般的ですが、誤って鋼をたたくと刃が割れてしまいます。なれないうちはあて台(削り台)の上に刃を置き、釘しめの先をしのぎ面に当てゲンノウでたたいたほうが確実です。 裏研ぎは刃先だけに力を入れるというイメージを描きながらやるのがコツ。全体を押さえて研ぎつづけると刃裏の鋼に段差ができてしまいます。また、鏡のようにきれいに仕上げるには、仕上げの水研ぎのときに水気がなくなるまで一気に研ぎ上げるということです。途中で休むと曇ります。 もうひとつのポイントは、裏出しをする前に刃を砥石でつぶしておく。これをやっておかないと、研ぎあげる際に細かい刃こぼれを直すのに苦労します。 |
b.裏金の耳をたたいて刃先と密着させる。 通常は、刃と裏金を取り出して重ねてみて、がたつきがなくなるまで裏金の耳をゲンノウでたたいて調節します(裏金を立たせるほどカンナは重くなります)。 ただ、刃の仕込みと裏金留めが狂っている場合は、この方法で調節しても隙間が開いてしまうことがあります。私の場合は刃と裏金を仕込んだまま光にすかして隙間を見つけ裏金のどちらの耳をたたいたらいいかを判断しています。 |
千代鶴三代目延国作 <出典> 道具曼荼羅/毎日新聞社刊 |
問題2. 裏金を2段研ぎ(あるいは丸刃研ぎ)する。 逆目をスムーズに削るには、裏金の刃先がほんのすこし立っている必要があります。裏金をいったん研ぎ上げた後、刃先に角度【約75度】を付けてください。砥石で5〜6回往復させる程度でOK。角度をつけるより、丸く面をとったかんじのほうがいいという人もいます。 |
問題3. 刃口の幅よりは幅が広くなっている。 刃の幅はカンナ台の刃口の幅と同じでないと、両側に削り屑が詰まってやはり切れなくなります。刃幅が広くなったら、刃口の幅に合わせて、手回しのグラインダーで水をつけながら耳を削り落としてください。私は普通のヤスリで落としていたときに手が滑って大怪我をしたことがあります。 |