不動産会社が不動産取引に絡む取引はその取引態様から3つに分けられます。 いずれの場合も不動産会社には宅地建物取引業法が適用されます。不動産の購入を検討する際にはチラシ等の広告に取引態様の種類が記載されていますので、 違いについて理解しておきましょう。
 以下に取引態様の違いを説明します。

 [売主]
 不動産会社が自ら所有する物件を自ら販売する。 物件を購入した場合、購入者は不動産会社と契約を締結する。

 [代理]
 不動産会社が売主から代理権を得ている。代理の効果は売主本人に及ぶので、 契約に売主本人が立ち会わなくても、代理の不動産会社が署名捺印すれば売主が 契約したのと同じ事になり、売買契約は成立する。

 [仲介(媒介)]
 不動産会社が売主と買主との間で契約条件を調整して売買契約を成立させるのが仲介(媒介)。 一般的には仲介といい、宅建業法上では媒介というがどちらも同じ事である。 売買契約時に契約書の作成や立会は当然するのだが、売買契約そのものは売主と買主との間で 締結される。

 さらに仲介(媒介)の場合は不動産会社と売主との間で事前に媒介契約が結ばれている。 媒介契約もさらに4種類に分けられるが、不動産を売却する場合のことで、購入する場合には あまり関係がない。
 ・専任媒介契約  売主は他の不動産会社には売却を依頼しないという契約。 売主本人が買主を見つけて契約することはできる。 不動産会社は指定流通機構に物件を登録しなければならないし、売主に対し2週間に1度以上の業務の報告義務がある。
 ・専属専任媒介契約  専任媒介契約をさらに強くしたもの。売主は自ら買主を見つけて契約することもできない。 売却時には必ず依頼した不動産会社の仲介で売買契約を締結する。 不動産会社も1週間に1度以上の報告義務を負う。
 ・一般媒介契約(明示型)  売主は複数の不動産会社に売却を依頼できるが、他に依頼している不動産会社を 明らかにしておかなければならない。明示型の場合は契約が成立した場合、 各不動産会社に通知しなければならない。
 ・一般媒介契約(非明示型)  売主は複数の不動産会社に売却を依頼できる。他に依頼している不動産会社を 明らかにする必要もない。

 それぞれの媒介契約の内容を考えると売主にとって一般媒介契約が有利なように みえるが、そうとも言い切れない。
 不動産会社が得る仲介手数料は成功報酬なので契約成立時に初めて手数料を得ることが できる。契約が成立しなければそれまでに使った広告等の経費は無駄になる。だから、 専任媒介や専属専任媒介の場合は熱心に営業活動をするが、一般媒介の場合は せっかく営業活動をしても、他の不動産会社で契約をされた場合は手数料が 入ってこないので、あまり広告等を出さなかったりすることがある。
 現在は指定の流通機構が発達しているので、1社に任せれば流通機構を通じて 他社にも物件情報が流れるようになっているので、数社に依頼した方が早く売れる ということはない。
 まずは物件近くの不動産会社に問い合わせて相場を聞くこと。そのときに 親身になって相談に乗ってくれるならばその会社に専任媒介で任せるのがいいだろうし、あまり 相場観がなかったりやる気がなさそうだったりしたら他社をまわるか一般媒介で数社に依頼するのもいいだろう。

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